この間、久しぶりに家の物置から楽器を出した。ワインレッドのケースを開くと、少し錆びた金色のベル。「随分、久しぶりですね」というようにぴかりと光ったのは、学生時代に愛用していたトランペットだ。動かなくなってしまったピストンにオイルを注して、久しぶりにマウスピースに口をあててみたら、懐かしい青春時代がよみがえってきた。
私がトランペットを始めたのは小学4年生の器楽クラブ。とにかく派手な楽器をやりたいと思い選んだのだが、最初に出たのは「すかー」という空気だけ。自分は天才トランペッターになるものと思っていたのに、音が出たのはそれから一週間後。とはいえ、初めて音が出せたときの喜びは、今でもしっかり覚えている。
今回何十年ぶりにトランペットを出してみて、自分が考えていた以上に楽器と人は深いつながりがあるのだと実感した。これからさまざまな楽器を紹介しつつ、そこにまつわる人の「思い」も紹介していけたらと思っている。